ゴー宣DOJO

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高森明勅
2013.10.15 11:53

五輪招致、やはり陛下は心配されていた

『文藝春秋』11月号に、
元首相の森喜朗氏が五輪招致の舞台裏について書いている。

要は自慢話。

その中に、興味を惹く話も出てくる。

「今回の招致活動は、前回の反省から始まった。
なぜ失敗したのか。
結局、当時の竹田(恒和)会長・水野正人副会長率いる
JOCの内向きの体質に問題があった」

「五輪招致反対を掲げる…東国原知事が誕生していたら、
五輪招致はなかった」
「石原さんが都知事のままだったら、
また中国を刺激するような発言をして物議を醸したり、
JOCと揉めていたかもしれない。
むしろ何も知らない猪瀬直樹知事で正解だった。
自分の力でやったと思い込んでいるところが可愛らしいけど」等。

だが看過できないのは、次の一節。
「(高円宮妃)久子さまのスピーチは本当に素晴らしかった。
風岡典之・宮内庁長官は出発前、記者会見で
『両陛下がご懸念になっている』などと余計なことを話していたが、
両陛下は招致決定の瞬間をリアルタイムでご覧になっていたという。
久子さまが東京にお帰りになられたら、
『良いスピーチだった』とお褒めになられたと聞く」
伝聞情報ながら、おそらく事実だろう。

まず、陛下がリアルタイムで招致決定の瞬間を
ご覧になっておられたのは、当然のこと。

五輪招致自体が国民的関心事である上に、
今回は皇族が現地に入っておられる。

もし、東京招致に失敗したら、皇室の尊厳に傷がつきかねない。

陛下にとって無関心でいられるはずがない。

だから、ご心配ゆえにリアルタイムでご覧になっていた、
と考えるのが普通だ。

また、高円宮妃殿下のスピーチをお褒めになられたのは、
「皇室の政治利用」への違和感を、
皇族として許されるギリギリの表現ながら、
はっきり表明されていたから。

しかも政治利用から極力、身を離すべく、
招致団のプレゼンテーションとは明確に一線を画す文言も、
慎重かつ周到に挿入されていた。

陛下はやはり「ご懸念」を抱いておられた。

それは、森氏が紹介した事実からも、疑う余地なく明らかだ。

しかし驚くべきことに、森氏本人はその事に全く気づいていない。

信じがたい鈍感さと言わねばならない。

一体、何が「余計なこと」か。

そもそも、東京招致の見通しが安泰なら、
わざわざ皇族にお出まし頂く必要などない。

成功するか、失敗するか際どい状況だからこそ、
「禁じ手」に賭けようとしたはずだ。

だが、それは言い換えると、招致に失敗して、
皇室の尊厳に傷をつけかねない場面だったことを意味する。

皇室にリスクを押し付け、
頗る危ういお役目を妃殿下にお願いした事実は、
首尾よく東京招致が決まったからと言って、
結果オーライということには決してならない。

今回の件は、失敗すれば皇室の尊厳に関わり、
成功すれば「政治利用」の疑念を深めるという、
極めて筋の悪い話だった。

陛下のご懸念はさぞや深かったに違いない。

その陛下のご懸念を、
少しでも緩和しようと懸命に努められた高円宮妃殿下のご苦衷は、
拝察するだに畏れ多い。

陛下や妃殿下のご心中に静かに思いを致し、
粛然と襟を正そうとする政治家はいないのか。



テーマ「政治権力と天皇」



平成25年12月1日(日)午後1時 から
『人事労務会館』 にて開催します。




「人事労務会館」
(住所:東京都品川区大崎2-4-3 )は、
JR山手線・埼京線・湘南新宿ライン・りんかい線
『大崎駅』 の 北改札口 を出て左へ、
「西口」 側の左階段を降りて、徒歩3分です。


毎回、会場の場所が分からず迷われる方が、多くいらっしゃいます。

人事労務会館のHPにて、場所をよくご確認の上、ご来場下さい絵文字:重要
(HP掲載の、駅から会場までの地図を印刷し、持参されることをオススメします )

詳しくは、 
“ こちら ” でどうぞ。




次回の12月1日(日)開催の「ゴー宣道場」のテーマは

『政治権力と天皇』


民主党政権は「1ヶ月ルール」を破ってまでも、
中国の習近平と天皇陛下を無理やり会見させた。


自民党政権はオリンピック招致という「経済政策・アベノミクス第4の矢」のために、
海外の候補地と激しく争う場に、皇族の威光を利用しようと
高円宮妃久子さまを引っ張り出した。


どちらも宮内庁長官は抵抗したが、政治権力に押し切られてしまった。

 

高円宮妃久子さまはIOC総会で圧倒的な存在感を示され、招致成功に繋がったが、
もし失敗していたら、皇室の権威が損なわれる危険もあった。



天皇陛下がこれを危うい「皇室の政治利用」と憂慮されるのは
当然のことだ。

 

風岡宮内庁長官は「苦汁の決断をした。天皇、皇后両陛下もご案じに
なっていらっしゃるのではないか
」と異例の言及をしている。


同時に「内閣の一員としてぎりぎりの判断をした」と説明している。

 

これに菅官房長官が「違和感」を表明。


なんと安倍晋三側近は、天皇のご意向を受けた風岡長官の発言に怒り狂い、
宮内庁をぶっ壊さないとな」「宮内庁は内閣の一部だ
宮内庁長官に任期や定年がないのはおかしい
などと言っている。


政治家どもは、一体、
自分を何様だと思っているのか!?


政治権力と天皇」の関係性を、この際、徹底的に問わねばならない。

 


次回で定期的に開催する「ゴー宣道場」は終わりだ。

来年からは不定期開催になる。


12
1日は堀辺正史師範も参加される。


熱く、深く、日本の根本問題を語ろう!


この恐ろしく深い問題を、どう笑いを交えながら議論できるかが課題だ。


HP上の申し込みフォームからも申し込み可能です絵文字:重要絵文字:パソコン

上 ↑ のHPメニュー「道場参加申し込み」もしくは下 ↓ の申し込みフォームバナー(画像)
クリックして、申し込みページにお進み下さい絵文字:よろしくお願いします
入力必須項目にご記入の上、お申し込み下さい絵文字:重要絵文字:メール

お申し込み後、記入されたメールアドレス宛に「申し込み確認メール」が届きますので、
ご記入内容に間違いがないか、よくご確認下さい。

申し込み〆切後、当選された方にのみ「当選メール」を送らせて頂きます。
当選された方は、道場当日、
その「当選メール」をプリントアウトの上、会場までご持参下さい。



 道場参加申し込みフォーム



引き続き、往復ハガキでの応募も受付けております絵文字:重要絵文字:記念日


入場料は、お一人1000円です。

参加ご希望の方は、

往復はがき に、『第39回参加希望』 と明記、

さらに、


1. 
氏名(同伴者がいる場合はその方の氏名と続柄・関係など)

2. 住所

3. 電話番号
4. 年齢

5. 
職業(学生の方は学校名)
6. 
募集を知った媒体
7. 
応募の理由と道場への期待


返信はがきの宛名には、ご自分の氏名・住所をご記入の上、


152-8799

東京都目黒区目黒本町1-15-16 目黒郵便局・局留め

『ゴー宣道場』代表・小林よしのり、担当・岸端


まで、お送り下さい。



応募〆切平成25年11/20(水)必着です。


当選された方にのみ
当選通知を送らせて頂きます絵文字:記念日
(往復ハガキで応募された方は返信ハガキで、ネットから応募された方は
 当選メールでの通知となります。)

当選通知の送付は、応募〆切後になりますので、しばらくお待ち下さい絵文字:よろしくお願いします



皆様からの多数のご応募、お待ちしております絵文字:重要絵文字:晴れ


高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

次回の開催予定

第117回

第117回 令和6年 5/25 SAT
14:00~17:00

テーマ: ゴー宣DOJO in大阪「週刊文春を糾弾せよ!」

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